2006年09月17日
『ホタル帰る』 知覧陸軍特別攻撃隊の悲しい物語
日本の古くからの友人から、本が贈られてきた、『ホタル帰る』だ。陸軍特別攻撃隊員とその特攻基地『知覧』のほど近くにある富屋食堂で、戦前は私財を投げ打って特攻隊員の世話をし、戦後はその特攻平和観音の建立やお参りに一生をささげた。鳥浜トメさんという女性の悲しい実話だ。うまく言葉には言い表せないが、本当にこんな神様みたいな人がいたのかと感動する内容だ。
九州に住む友人は、最近、生まれてはじめて知覧を訪れたそうだ。その際に購入してわざわざ香港まで郵送してくれたのだ。
私はこの地を20年以上前の大学時代にに友人と3名で九州一周の途中に車で訪問した。いまは、観光客も多く、綺麗に整備されてしまっているらしいが、その時は、訪れる人も少なく特攻隊員の遺書や写真が展示されている知覧特攻平和記念館は独特のムードがあった。
館内には、1,036柱の隊員の遺影が出撃戦死した月日順に掲示されている。その下には家族・知人に残した遺書・手紙・辞世・絶筆等を展示してある。特攻隊員のほとんどが、17歳から20歳の陸軍少年飛行兵の出身者で、戦争の悲惨さを物語っていた。
いまで言えば、高校生から大学生の彼らの遺書は達筆で内容もしっかりしていて感銘を受けた。訪れる人々は記念館の中に入ると皆、無言になり、その写真や遺書の前で立ち止まり、涙を流していた。
私たちも、その記念館をあとにして、しばらく会話ができなかった思い出がある。
戦後、心無いマスコミが、その鳥浜トメさんを取材していいかげんな報道をしたために、彼女は、取材を拒否したまま亡くなってしまった。この本は、その娘さんの証言で事実を伝える貴重なものだった。
日本人なら、ぜひ一読してもらいたい本だ。
来年夏に知覧を舞台とした『俺は、君のためにこそ死ににいく』という映画が公開されるようだ。予告編↓ 見たい気もするが、悲しい映画なんだろうと思う。
そういえば、いま日本では、9月16日から『出口のない海』という海の特別攻撃隊ともいえる人間魚雷『回天』の映画が上映されているようだ。予告編↓

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この記事へのコメント
名物説明員のオジイサンもいましたが、中々考えさせられる場所ですね。 こういう事実があったことは後世に語り継ぐべきと考えます。
来年夏公開予定のポスターも館内に貼ってありましたよ。