報道関係各位

早稲田高校野球部元監督、同校理事長と副校長を提訴
　
　学校法人・早稲田高等学校(所在地：東京都新宿区馬場下町62、学校長：瀧澤武信)元野球部監督・三原伸吾氏(東京都板橋区在住・57歳)は、原告訴訟代理人である山﨑賢一弁護士(東京都港区虎ノ門2丁目5番21号寿ビル7階・やよい共同法律事務所/送達場所)を通じ、平成30年9月27日付にて、同校の塙本周司理事長と金子一郎副校長を提訴した。訴状によれば、三原氏は平成29年7月に同校野球部OB会の推薦・推挙に基づき、野球部監督に就任したが本年5月12日、スポーツ新聞の取材を受けた事を理由に塙本理事長と金子副校長に解任された事を不服とし処分の撤回と身分回復及び謝罪を求めたもの。問題となったスポーツ紙の報道によれば、三原氏は三原じゅん子参議院議員の実兄にあたる。

　三原氏は「野球部を預かり、本気で甲子園を目指していた。野球部へメディアの取材があったことを要因に解任されたが、学校関係者に報告もしており無断で行った事ではないのにその責を問われた。理不尽極まりない。取材を受けた生徒も親御さんも喜んでおり、夏の大会に向けて大きなモチベーションになっていた。それを踏みにじられてしまった。生徒の心の中にメディアへの不信感が生まれてしまうのではと心配だ。自分の出身でもある早稲田高校野球部と野球そのものへの愛情を踏みにじられた思いだ。同時に野球部OB会に対しても、聞き捨てならない言葉を浴びせられた。解任も含め自分はパワハラを受けたと感じている。スポーツ界のパワハラが問題になり学生スポーツの在り方が問われている今、これがまかり通るようでは早稲田野球と教育現場の危機を感じた。母校を訴えるというのは筆舌に尽くせないほどの葛藤があったが、早稲田の野球を早稲田の野球人の手に取り返したい思いで提訴に踏み切りました。」と語っている。
　三原元監督が野球部に在籍していた昭和52年、同校は東東京大会でベスト8まで進出。三原元監督は、この記録を塗り替え新しい歴史を刻みたい思いが強かった。

　三原氏は「同校野球部OB会・父兄会の中にも早稲田の野球を取り返したいという声を多くいただいている。処分の撤回を強く要求したい。」と、強い憤りをあらわにしている。この発言の背景には、現在同校の教員には同校卒業生は就任できないという内規があり同校卒業生からも「何の意味があるのだ？」と疑問の声が生じていた。今回の解任は、この内規の拡大を目論んだものと解釈され、「母校の教員を目指す若者の前途を閉ざすものでもあり職業選択の自由を奪う重大な問題だ。このままでは、野球だけでなく早稲田の学問の危機でもある」と三原氏は述べている。
　学校法人早稲田高等学校は、坪内逍遥らが大隈重信の教育理念に基づき1895年(明治28年)に創立された伝統校。校名に「早稲田」を冠したのは大学よりも同校が先である。当初は早稲田大学とは独自の志向をしており、早稲田大学高等学院、早稲田実業学校とも別の路線を歩んでいたが、現在では卒業生の約半数が早稲田大学に推薦入学している。高校での生徒募集はなく、中学受験の難易度は早稲田大学付属・系属の中で最も高い。
同校野球部は、明治42年(1909年)に学校側が認定しているが、それ以前の明治38年(1905年)に、早稲田大学が12名の選手団を初めて米国に遠征させた時、3名が早稲田中学野球部員という記録もある(「早稲田中学百年の軌跡」より)。今夏100回を迎えた高等学校野球選手権大会よりも長い歴史を持つ国内有数の野球部。